ダイビング器材完全解説
:プロの選び方ガイド
このドキュメントでは、ダイビング初心者の方々が器材を選ぶ際に知っておくべき重要なポイントを解説します。プロのインストラクターが実際に見ている選定基準や、各器材の役割、選び方のコツを詳しく紹介します。器材選びに迷っている方は、この情報を参考に自分に最適な器材を見つけましょう。
© 2025 PAPALAGI DIVING SCHOOL
器材選びの3つの基本軸
ダイビング器材を選ぶ際には、3つの重要な軸を考慮する必要があります。これらの軸は、どの器材を選ぶ場合でも共通して見るべきポイントです。
フィット感
ダイビングの安全性と快適性に直結する最も重要な要素です。体にぴったり合った器材は、水中での動きやすさを向上させ、ストレスを軽減します。
操作性
安全に関わる重要な要素です。付け外しのしやすさ、ボタン操作のしやすさ、レギュレーターの吸い心地など、使用時の快適さを左右します。
負担の軽さ
持ち運びのしやすさや価格面での負担も含まれます。長く使う器材だからこそ、無理なく続けられる選択が大切です。
これらの基準を念頭に置きながら、各器材の特性と自分のニーズを照らし合わせて選ぶことが重要です。特に初心者の方は、安さや見た目だけで選ぶのではなく、これらの基本軸に沿って選ぶことをおすすめします。
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スーツ:保温と保護の要
スーツは水中での保温と保護のために最も重要な器材の一つです。大きく分けて「ウェットスーツ」と「ドライスーツ」の2種類があります。
ウェットスーツ
下に水着を着用し、体が濡れる前提のスーツです。伊豆など温かい海域では5mmの厚さのワンピースタイプがおすすめです。
ドライスーツ
体が濡れないため、寒い海域での使用に適しています。動きやすいインナーと組み合わせて使用します。
プロのおすすめ: スーツはフルオーダーで作ることを強くおすすめします。オーダー料はウェットスーツで約1万円、ドライスーツで約2.5万円かかりますが、保温性や動きやすさ、着脱のしやすさが格段に向上します。キャンペーン時には割引もあるので、購入店に相談してみましょう。
スーツはダイビングの快適性を左右する最重要器材です。フィット感が良いと長持ちするだけでなく、ダイビング体験そのものが大きく向上します。
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マスクとシュノーケル:視界確保の必需品
水中での視界を確保するために欠かせないのがマスクとシュノーケルです。特にマスクは水中体験の質を大きく左右する重要な器材です。
マスク
鼻まで覆うデザインが特徴で、水中での圧平衡に必須です。顔との相性、シリコン素材の柔らかさ、レンズデザインによる視野の広さなどを確認しましょう。
シュノーケル
水面で呼吸するための器材です。ダイバー用はジャバラ部分があり、緊急時や水面が波立っている時に水の誤飲を防ぐ役割があります。
マスク選びのポイント
フィット感
前頭部の位置、頬骨のフィット、こめかみ部分の隙間がないかをチェックしましょう。隙間があると水が入ってきて快適なダイビングができません。
レンズタイプ
1眼タイプ(眉間がつながっている)と2眼タイプ(分かれている)があります。視力が弱い方で度付きレンズが必要な場合は2眼タイプが適しています。
マスクは必ず試着して選ぶことをおすすめします。ネット通販では視野の広さやフィット感を確認できないため、ダイビングショップで実際に装着してみましょう。
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グローブとブーツ:手足の保護と快適性
グローブ
グローブは手の保温と保護のために使用します。ダイビング中はロープを掴んだり、岩場に手をついたりする場面が多いため、怪我を防ぐ重要な役割があります。
  • 海水中では指がふやけ、傷が入りやすいため保護が必要
  • サンゴや岩場での怪我防止に効果的
  • 水中での保温効果も重要な機能
ブーツ
ブーツは足の保護のために履き、フィンを装着する際にも必要です。サイズ選びが重要で、かかとを合わせて横幅がフィットするものを選びましょう。
サイズ選び
多くのメーカーは1cm刻み、中には0.5cm刻みで提供しています。つま先が少し余っていても、横幅がぴったりのものを選びましょう。
靴底の厚さ
潜る環境に合わせて選びます。磯場や砂利の上を歩いてエントリーする場所では厚手のブーツが適しています。ボートからのエントリーのみなら薄手でも問題ありません。
グローブとブーツは比較的安価な器材ですが、快適性と安全性に直結するため、試着して自分に合ったものを選ぶことが重要です。
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フィンとBCD
:水中での動きを支える器材
フィン
水中での唯一の推進力となる重要な器材です。手を使わずに効率よく泳ぐためにフィンは欠かせません。
1
ブレードの硬さ
自分の脚力に合わせて選びます。スポーツ経験や普段の運動習慣がある方は硬めのブレードが適しています。体重や身長が高い方も硬めがおすすめです。
2
分解可能タイプ
最近は足を入れるフットポケットとブレード部分が分解できるタイプも人気です。脚力に合わせてブレードだけ交換したり、ウェットスーツとドライスーツでフットポケットを使い分けたりできます。
BCD(浮力調整器材)
Buoyancy Control Deviceの略で、水中での浮力調整に使用する重要な器材です。10kg超のシリンダーを背負うため、フィット感が特に重要です。
サイズ選び
肩のベルト類を絞った時に、きつすぎず緩すぎずフィットするものを選びましょう。ガバガバだとバランスを崩しやすくなります。
操作性
インフレーターホースのボタン位置や形状はメーカーによって異なります。実際に握ってみて、指が届きやすく操作しやすいものを選びましょう。
強制排気機能
最新のBCDには強制排気機能があり、どの姿勢でも空気を抜くことができます。緊急時に素早く浮力調整できる便利な機能です。
プロのおすすめ: ウェイト一体型のBCDを選ぶと、ウェイトベルトを腰に巻く必要がなく、快適性が格段に向上します。価格は高くなりますが、10年以上使える器材なので、初期投資の価値は十分にあります。
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レギュレーター:命を預ける重要器材
レギュレーターは水中で呼吸するための器材で、シリンダーから空気を供給する命綱とも言える最重要器材です。価格の高さだけでなく、実際の使用感を重視して選ぶことが大切です。
レギュレーター選びの重要ポイント
1
吸い心地
ダイビングショップで実際に吸ってみることが重要です。価格が安くても吸いやすいものもありますが、深い水深では吸いにくくなるタイプもあります。
2
水深による変化
プロのおすすめ: 水深が変わっても吸い心地が変わらないタイプを選びましょう。吸い心地が変わると不快感を感じるだけでなく、安全面でも問題があります。
3
ホースの配置
ファーストステージの真横からホースが出るタイプは、収納時にホースに負担をかけにくく、長持ちします。
「レギュレーターは一生使う器材です。自分の命を預ける器材だからこそ、妥協せずに選びましょう。」
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残圧計・コンパス・ダイブコンピューター
残圧計とコンパス
残圧計はシリンダー内の空気の量を確認する器材で、1メモリで10気圧を表示します。ダイビング前は180〜200気圧が満タン、上がる時は50気圧を残すのが基本です。
コンパスは水中で方角を確認するための器材です。水中には標識が少ないため、帰る方向を把握するのに役立ちます。
これらの器材は機能的な差が少ないため、レギュレーターと同じメーカーで揃えるのがメンテナンス面でもおすすめです。
ダイブコンピューター
腕につけて使用し、水圧を感知して現在の深度を表示します。最も重要な役割は体内窒素量を計算し、減圧不要限界(ノンストップリミット)を教えてくれることです。
必須の器材
多くのダイビングポイントではダイブコンピューターがないと潜れません。安全性を確保するための最重要器材の一つです。
安全停止機能
水深5メートル付近まで浮上すると、自動で3分間のタイマーを開始してくれるため、安全停止が確実に行えます。
選び方
表示の見やすさが重要です。最近はカラー液晶のものも多く、普段使いも考慮してデザインや価格帯で選ぶこともできます。
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バッグとキャリー:器材の持ち運びと保管
器材の持ち運びと保管のためのバッグは、意外と重要な役割を果たします。特にボートダイビングでは、自分の器材をまとめておくことが必須です。
メッシュバッグ
ダイビング器材一式を入れるバッグです。底部分がメッシュ状になっているため、濡れた器材を入れても水が切れやすい特徴があります。

ボートダイビングでは器材の積み下ろしがメッシュバッグ単位で行われるため、バラバラに持ち込むと管理が難しくなります。基本的にはメッシュバッグは必須と考えましょう。
キャリーバッグ
家から器材を持ち運ぶ際に便利なキャスター付きのバッグです。メッシュバッグを肩に担いで持ち運ぶのは重労働なので、キャリーバッグがあると負担が大幅に軽減されます。
また、器材の保管にも適しているため、ダイビングをしない時期の保管場所としても活用できます。耐久性のあるものを選ぶと長く使えます。
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プロからのアドバイスとまとめ
器材選びは自分のダイビング体験を大きく左右します。安さや見た目だけで選ぶのではなく、フィット感、操作性、負担の軽さという3つの軸を基準に選ぶことが重要です。
スーツはオーダーメイドで
追加費用がかかっても、フルオーダーのスーツを選ぶことで保温性、動きやすさ、着脱のしやすさが格段に向上します。長く使う器材だからこそ、初期投資の価値があります。
BCDはウェイト一体型を
ウェイトベルトを腰に巻く必要がなくなり、快適性が大幅に向上します。後から買い直すよりも、最初から良いものを選ぶ方が長期的にはお得です。20年近く使えることもあります。
レギュレーターは命綱
水深が変わっても吸い心地が変わらないタイプを選びましょう。自分の命を預ける器材だからこそ、信頼性を最優先に考えるべきです。ホースの配置も使いやすさと耐久性に影響します。
「器材選びで迷ったら、遠慮なくプロに相談してください。最終的には自分で判断する必要がありますが、経験豊富なインストラクターのアドバイスは非常に参考になります。」
ダイビングを始めたばかりの方は、まずはレンタルで体験し、徐々に自分の器材を揃えていくのも良い方法です。しかし、器材の見るべきポイントは早いうちから知っておくと、将来の選択に役立ちます。
最後に、器材は長く使うものです。少し高くても自分に合った快適な器材を選ぶことで、ダイビングの楽しさが何倍にも広がります。安全で快適なダイビングライフをお楽しみください。
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